●● Wonderful Every Day --- ようこそ生徒会へ! ●●
「ようこそ生徒会室へ!『黒服ズで送る入学旅行』はどうだった?」
…くぅ、ごあいさつだな。未来さん。あのアリンコ集団あんたが送ったんかい。
ってか、アイツら黒服ズっていうんだ。
…随分と安価な名前だな。
「次はファーストクラスでゆったりと頼みたいですね。結構放り投げられるときに痛かっ―――「あ、ごめんね亜耶ちゃん。ありがとー」
あっさり俺を無視し、嬉しそうに俺のはるか前方を見る。
つられてそちらに顔を向けてみると亜耶姉が慣れた手つきで壁についた見るからに不自然なボタン郡を構っていた。
ってか、ソレなに?
「hahaha!Mr.尚史!不思議そうな顔をしているne!!」
「なっ」
ん?今、さっき俺に『FIGHTだぜよ!』とかホザイタ野郎の声が近くから…。
辺りを見回すがどこにもそれらしい人影はない。
…気のせいか?
「え〜と、僕の情報によるとさっき尚史が飛んできたとき途中で何かが開いたような音がしなかったかい?」
ん?晄…も近くにいるのか?
「尚ちゃんが衝突するギッリギリのところでコンクリート壁偽装ハッチが空いたんだよ!よく聞こえなかったかもだけどねぇ〜」
恵美よ。言っておくが『偽装』なんぞ学校にいらんぞ。
「作ったのはミリちゃん…ミリー先輩という人で、高校生とは思えないほどの機械技術を持った人ですぅ」
それはさすがにありえn…でも俺さっきそれ通ったんだよな。
しかも、ちょうどその真上部分にでっかく『Millie』って書いてあるし。
ってか、『ミリちゃん』ってハルちゃんかなりフレンドリーだな。オイ。
「隠してるのはあそこにいる亜耶ch…亜耶先輩…え〜と、尚君の従姉さんだね。その人が「生徒会はトップシークレット!」って言ったからなんだって」
…あぁ、ますますこの学校がわからなくなってきた。
ってか、なんでそのトップシークレットとやらを瀬里奈が知ってるんだ?
晄に教えてもらったのか?
…お、亜耶姉が戻ってきた。
「ふぅ。終わったようですわね。まったく、ミリー先輩が変なものばかり追加するからどんどん操作がややこしくなるのよ。この前つけた侵入者撃退用クラス4レーザーって一体ナンですの?教えてください山内君!」
うぁ、俺も知らねぇ。
ってか、八城さんまでいるのか…ってか、みんなどこにいるんだ?
どうみてもこの部屋に6人も隠れられないだろ。
「やっぱり未来スゴイね〜。もう一年生の子の分までできるんだ」
「うん。それなりに〜。ってか、みんな小等部のときから知ってるじゃん。それに一回聴いちゃえば大丈夫だしぃ」
「あ、そっか」
ん?『できる』?『聴いちゃえば大丈夫』?
…あ、そうだった!
チョンチョンと、後ろから指で突付かれる。
振り返るとかなり至近距離に未来さんの顔。
まぁ、さっきからしっかりホールドされてるから当たり前なんだけどさ。
「……」
「……」
「………」
「………まだ?」
何がですか。
ってか、目は閉じなくてもヨロシイ。
「あ、亜耶ちゃん!久しぶりに見たから尚史ちゃんもらっていい?」
「あぁ、そんなこと普通言う?いくら未来でも未成年者略取及び誘拐の罪で訴えちゃうよ?」
…亜耶姉。よくわからんが妙に詳しいな。
ってか、未来さん理由がいまいちわかりませんし、俺はモノではありません。
「そんなことより尚史ちゃん!私のことちゃんと覚えてる!?」
「はぁ?未来さんでしょ?あの、昔から亜耶姉とツルんでた」
「よくわかったなぁ!尚史君!おじさんは感動だぁ!」
「そして、声マネが天才的に巧い。…ってか、男の人までできるようになったんですね」
そう、さっきまでの声は全部この人。レパートリーはとりあえず知ってる人かな。まぁ、俺の知ってる限りじゃぁ出来ない人はいないな。
欠点は……ときどきボロを出すくらいか。
昔は女の人の声ばっかりだったけど低い声もだせるようになったんだなぁ…芸人にでもなればいいのに。
「ちなみに私は副長で、未来は生徒会長!」
「ん?なんか俺の予想だと亜耶姉が生徒会長だと思ったんだけど…」
「う〜ん、私仕切るの下手なんだよね〜」
嘘だ。俺が前住んでた町に初めて来たとき普通に俺の友達何人もパシリに使ってたじゃねぇか。しかも金はしっかり相手持ちだし。
絶対、自分でやるのが面倒だからって押し付けたな。
「ところで尚史ちゃん!今回、君を呼んだのには重大な用があるんだよ!」
「はぁ?用?」
「うんうん!」
なぜか亜耶姉と意味有りげな視線を交わした未来さんは俺を奥にあった会議用の机へと連れて行ってくれた。
※クラス4レーザーについて
触ると火傷しますよ〜。で、物質に当たると火災が発生する恐れがありま〜す。光線を直視しただけでも身体的に相当な被害をもたらすので絶対に遊び半分で発射してはいけませんよ〜。使うときは必ず軍用勤務の大人の人と一緒にやろうね!んじゃ、バイバイキーン!
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