●●　Wonderful Every Day --- 拉致かよ！　●●

「じゃぁ、尚ちゃんまたねぇ」

「先輩バイバイですぅ」

そう言って腕がちぎれんばかりに降るふたり。
ってか、オレ教室帰るだけだぞ？
そしてその二人の後ろで同じく思いっきり手を振る…

「尚史ぉ〜!!!!」

いや、晄。なんでそんなに感動映画のラストシーンみたく叫ぶんだよ。
お前ってそんなキャラだったっけか？
ってかなんで今、目薬さした？
確かに涙みたいに見えるけども！

「車に気をつけて帰るんだよ〜？」

「は〜い！…って、オイ！」

だから、今から教室に帰るだけなんだぞ？瀬里奈。
廊下に車道歩道があるわけじゃねぇし。

「じゃぁ、Mr.尚史！また後でNA！」

って、お前はどこ行く気だ馬鹿ＤＪ！

「お前がいないと俺が帰れんだろうが！」

……なんでこんだけ人がいてツッコミが俺だけなんだよ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「Ho！到着したぜよMr.尚史！」

「あいかわらずこの学園広いよなぁ」

まぁ、１時間かそこらで学園内が変わるわけないだろうけどな。
…ん？

「セイジ、なんかおかしくないか？」

「HEI！Mr.尚史！Meのことをおかしいと言うのかYO!?」

「い、いや。そういうことじゃなくて…」

まぁ、確かにお前はおかしいけども。
今１−Ｃの教室前に続く廊下にいるんだけど…なんかこう静か過ぎるっていうか。

「まぁ、Mr.尚史も潮時を迎えたということSA！もうすぐ『Wonderful Every Day』の主人公も変わるのSA！」

「主人公の座は誰にもわたさん！」

と、まぁノリで言ってみたけど…『Wonderful Every Day』って何？
え〜と日本語にすると…『素晴らしき毎日』？
…わけわからん。

と、アレコレ考えてる間に教室の前。
そういえば、次の授業ってなんだっけ？
確か数学だったような気が…

「「「すべては生徒会のためにっ！」」」

「のわっ！」「Ｗｈｙ!?」

なんだ!?教室入ろうとした瞬間に誰かに跳ね返された!?
しかも後にいたセイジまで一緒に跳ばされたし。

…どこのどいつだよ！イキナリこんな事しやがって。
見ると、教室の入り口のところに…

「Men in Black!!」

あぁ、簡単で尚且つわかりやすい説明ありがとうセイジ。
だが出来れば日本語で『黒服集団』といって欲しかったぞ？
それにしてもイテェ…頭からモロに壁に直撃したもんなぁ。

「「「すべては生徒会のためにっ！」」」

またもや叫ぶ黒服集団。
あ〜廊下に響くから余計にうるせぇ。

「一体YOU達なんなんだYO！」

おぉ〜なんかセイジが積極的だぁ。
まぁ、生徒会のために！とか言ってるからそういう関係なんだろうと思うけどさ。

「「「すべては生徒会のためにっ！」」」

…いや、答えになってないし。

「「「すべては生徒会のためにっ！」」」

「で、なんで俺を持ち上げる!?」

なんか胴上げされてる…。
って、

「お前らどこいく気だ!!」

なんでそんなにダッシュするんだよ!!
降りたくても降りられないじゃねぇか！
いや、これは新手の拉致なのか!?

「俺はハングル読めねぇぞ!!」

「「「すべては生徒会のためにっ！」」」

…無駄な抵抗という儚い文字が頭に浮かぶ。
ん？そういえば、セイジのやつはどうした？

「Mr.尚史ォ〜、FIGHTだぜよ！」

で、そのまま………うぁ!!アイツ逃げやがった!!

「この状況でどう頑張れっていうんだ！バカヤロ――!!」