戻る | 次へ | 目次

● Wonderful Every Day --- クラス委員!? ●

「あ〜…なにから始めりゃ良い?」

そう言った瞬間にクラスのやつらが机にのめり込む。
ったく、俺に何を求めていたか大体想像はできるけど、あいにく俺はおじさんみたいなパフォーマンスは持ち合わせてないぞ。

「え〜と〜とりあえず〜級長さん決めよ〜か〜?」

隣斜め下で声がする。
クラス委員長ねぇ…ま、そこら辺りが適当かもな。

「っと、いうわけでクラス委員長やりたい人!――「はい!わたくしがやりますわ!いいですわね皆さん?」

クラスの後の方で雷なみのはやさで手を挙げた女の子がそう言いながらまわりを見渡す。
その勢いに乗せられたのか、クラスメートの顔がカクッと頷いた。

「良かったわねぇ、じゃぁ華香ちゃんクラスよろしくぅ〜♪」

「はい先生!私八城やしろ 華香はなか、まかされたからにはしっかり役目を果たしますわ」

そう言ってにこやかに先生と握手する彼女は、長い髪を後でまとめて凛とした顔だちだった。
なんとなく昨日の巫女さんに似てるなぁ。

「は〜い、じゃぁ尚史君、華香ちゃんとバトンタッチィ〜」

…って俺の役目ほとんど無しかよ!?
まぁ、人前に立つのあんまり好きじゃないから気が楽になって良いんだけど…。
さてと、後はセイジとでも喋ってようかな。

「あ、山内君ちょっと待ってくださる?」

「ハヘ?」

席に戻る途中で、急に八城さんに止められる。
ったく、急に呼ばれたから変な声が出ちまったじゃねぇか!

「あなた、私の補佐になっていただけませんこと?」

…ハイ?

「え〜と、おっしゃている事がよくわからないのですが?」

「だからぁ〜、華香ちゃんは〜あなたを〜副級長さんにしちゃぅ〜って言ってるのよぉ〜」

ねぇ、と隣にいる華香に言う先生。
あ〜、華香の背が高いってのがよくわかるわ。
いや、先生が小さいのか。

「無理」

「そ、即答ですの?」

「だって俺人前にでるの好きじゃねぇし、ましてや仕切るなんて事できねぇぞ?」

誰だって、さっきまでの俺の司会見てればわかると思うんだけどな?

「YES!MEはよく知ってるんだぜよ!Mr.尚史は絶対クラス委員には向ねぇんだYO!」

「俺とお前さっき会ったばっかりだろうがYO!」

「人の真似すんなYO!」

「そんなの知らねぇYO!チェケラ〜〜!」

「チェケ・チェケ・チェケルッ・タ〜!」

そして向きあったまま数秒間両手でポーズを決めあう。
ってかDJってこんなんだっけか?

「とまぁ、こんなわけだから俺にはお前の補佐とやらは無理だ」

「い、意味がわかりませんわ!」

「ああ、俺も正直よくわからん」

ってか、わかったらスゴイどころじゃないよな。
とそのとき、隣のクラスから大声が聞こえてきた。

「はいは〜い、尚ちゃ〜ん居ますかぁ?」

「…尚君はC組だよ恵美ちゃん」

どうやらあいつらみたいだな。
…お、来た来た。

「おっと、尚ちゃん発見!」

「「「お〜〜!!」」」

「よぉ!」

「「「キャーー!!」」」

「さっそく来ちゃった」

「「「ぉお〜〜!!」」」

…なんでいきなりクラスの熱気が上がったんだ?
ま、後々わかるか。
ってか、まだHR中だぞ?お前等ちょっとは遠慮しろよ。

「で、お前らのクラスはもう終わったのか?」

「ああ、C組は?」

「あとは、私の補佐…つまり副委員長を決めるだけですわ谷村君」

「あ、もしかして華香ちゃん、また委員長になったの?」

『また』?…ってことは華香って今までも委員長やってたのか?

「おっと、尚史『華香って今までも委員長やってたのか?』って顔してるな」

す、するどい!するどすぎるぞ晄!
お前の勘はときどき道端に生えてて服とか引っ掛けちゃうトゲトゲの木くらい鋭い!…ってどんなだよ俺。

ああ晄、自分に突っ込んだがために「『華香って今までも委員長やってたのか?って顔』ってどんなだよ!」みたいな感じでツッコメなかった俺を許してくれ!

「お〜い、土下座なんかしてどうかしたか?」

「ハッ!き、気にしなくていいぞ?まぁとにかく続きをどうぞ」

ヤバイな。知らず知らずのうちにマイワールドに入りかけてたみたいだ。

「う〜むかなり気になるが…ま、いっか。で、華香なんだが俺の得た情報によると小等部のころからみんなを仕切るような係をしてたらしい。しかも、毎年必ず立候補して一発当選」

「ようするにスーパー仕切りたがり屋?」

「ああ」と答えて晄は胸ポケットからあの手帳を取り出す。
ってか、完全にHRに食い込んできたけど先生何にも言わないんだな。

「ちなみにスリーサイズは上から8―――「谷村君!それ以上は乙女のトップシークレットです!」

どこから聞いていたのかいきなり華香が俺と晄の間に入ってくる。
まぁ、俺の隣にいたんだから聞こえるのは当たり前か。

「でもこの頭にしっかりインプット――――「そんなもの、今すぐデリートです!」

「このデータは保護設定されて――――「保護解除なさい!」

って晄、お前の頭はPCか?
それに対応できる八城さんもスゴイけど…。

「はいは〜い、二人ともそこまでぇ。あ、そうそう晄君…だったっけ?」

と、先生が入ってきた。
ってか、やっとかよ。

「そうですけど?」

「あなたってぇ、尚史君の友達でしょぉ?今、尚史君に副級長さんやってもらお〜かなぁ〜と思ってるんだけどぉ、どおかなぁ〜?」

晄の目がこっちを見る。
おい、俺はそんな大役嫌だぞ?
だから、絶対先生に変なこと言うなよ?

あの人校長の甥っ子ですから」

オ〜イ!!晄!!何言う気だ〜!?
嫌だって首振って意思表示したぞ!?

「自信を持ってオススメしますよ!」

「ホントォ〜♪」

ノー!!あいつ今こっち向いてニコッて笑ったぞ?
アノヤロ〜、絶対確信犯だな。
ってか『オススメ』って俺は電気屋のプラズマテレビか何かか!?
それと、子供がアメ貰ったときみたいに喜ばないでください。先生。

「わぁ!尚ちゃんが副委員長さんなの?」

「尚君、応援するね」

「ガンバッ!」

「ああ、任しとけ!…っう、また勢いで言っちまった!って、俺の意見無視かよ!」

ん?なんか昨日も俺の意見が無視されたことがあるような…。

「それでは、山内君一年間よろしく頼みますわ」

「大変かもしれないけどぉ〜頑張ってねぇ〜」

ポチッ

ん?なんかこのボタンを押す音聞いたことあるような…


キーンコーン♪


やっぱりかい!
ってかもしかして先生全員持ってる?

「よぉ〜し、調度いい感じにチャイムも鳴ったことだし〜これにて解散♪」

「ホント、まるで誰かが合わせたみたいだね」

ギクッ!!

「せ、瀬里奈こんな近くにいて気付いてなかったのかよ?」

「……?」

…え〜と、瀬里奈は天然キャラっと。
ちなみに、先生のリアクションはあきらかにわざとだからあえてツッコミはしない。

「これでようやく帰れるってわけか」

「さぁさ、帰ろ〜尚ちゃん♪」

「は〜あ」

なんか初日なのにだいぶ疲れたぞ?
大丈夫なのかこの学校?
戻る | 次へ | 目次
Copyright (c) 2006 Gentle impostor All rights reserved.
 

-Powered by HTML DWARF-

inserted by FC2 system