●● Wonderful Every Day --- クラス ●●
俺が晄たちの後を追って昇降口に行くとたくさんの生徒たちが溢れかえっていた。
その中から俺たちを見つけたのか恵美とハルちゃんが走ってくる。
「んもぉ、ミツ君たち遅いよぉ〜」
「先輩たちのクラスは私たちで見ておきましたから教えちゃいますね!」
そう言いながらなぜか空に向かって人差し指を伸ばすハルちゃんが教えてくれたクラス割は、
クラスA …… 恵美、瀬里奈、晄
クラスC …… 尚史
「な、神よ!!イジメですか!新手のイジメなのですかこれは!?」
<そうなんだよ〜♪イジメなんだよ〜♪>
?…何か聞こえたような気がするけど…ま、いっか。
でも、なんで俺だけ違うクラスなんだよ〜!
「ま、運命を受け入れたまえ」
「晄、もしかしなくても慰める気0だろ」
「尚ちゃんは別なのかぁ〜、でも大丈夫、授業中だろうがなんだろうが遊びに行ってあげる!ねぇ、セリちゃん?」
「ん〜〜〜。恵美ちゃん、ちょっと迷惑だからHRくらいにしておこうよぉ」
「イヤイヤ、どっちもかなり迷惑だからヤメイ!」
っていうか瀬里奈は何故悩んだ!?
「YOU!さっきから叫んでるけど、ど〜かしたのかYO?」
あ、やべぇ変なのが来た。
「あ、村山君久しぶりだね〜」
「HEI!Ms.瀬里奈!MEの名前はセイジだぜよ!?」
そう言いながら自分のアフロヘアを大事そうに撫でる。
その下にはさっきおじさんが付けてたのと似たようなサングラス。
ってか、どっちも校則違反なんじゃ!?
まぁ、その校則を俺は知らないわけだがな。
「尚史、こいつは俺らと同じ一年の村山 誠治。自称ラッパーのアホだ」
「『アホ』ってオイ…」
「よろしくだぜよ!」
どうやら、本人は気にしてないらしい。
ニカッと笑いながら握手を求めてくる。
「ああ、よろしく」
騒がしいみたいだけどなかなかイイやつなんだろうな。
その後、俺の紹介も終わってから校舎の中に入っていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ここが尚ちゃんの組だよ〜」
「で、俺たちのクラスはあっちな」
「それじゃぁ、また後で会おうね」
「オーケー」
そう言って別れていく3人のクラスはもう少し先に行った教室らしい。
当然ながらハルちゃんはまだ中学生だから中等部の教室に行っている。
「ワォ!もしかしてYOUもCクラスなのかYO?」
「ああ、改めてよろしくな」
とは、言いつつもこいつと一緒のクラスかぁ…先が思いやられるな…。
「ま、とにかく席につこうぜ?」
「席はまだ決まってないからどこでもイイらしいだぜよ?」
ふ〜ん、中学生のときみたく名簿とかじゃないんだな。
っていうか、『だぜよ』の使い方がおかしい気がするぞ!?
とにかく語尾につけりゃいいってもんじゃないだろうが。
ま、正式な使い方なんか知らないけど。
まわりを見渡すとこれからクラスメートになるであろう生徒たちがそれぞれ適当な席に座ったり、友達同士で話をしたりしていた。
とりあえず、空いていた廊下側のドアの近くの席に座る。
…と、その横に当然といった感じで隣に座るセイジ。
まぁ、別にどこに座ろうが勝手だからいいけど。
…キーンコーン♪
おっと、チャイムだ。
それにしても担任の先生遅いなあ。
普通、始業式とかって担任は早く来ると思うんだけどな…
「あれれ〜?」
「ん?」
恵美を少しだけ大きくした感じの生徒が教室の前でウロウロしている。
声を掛けた方がいい…んだよな?
おっと、ヤバイ。朝っぱらから変なのにばっかりあってるからちょいと人間不信になりかけてるな。
「君、迷ったの?」
「ハイ〜、見事に迷ちゃったんだよ〜」
うわっトロイッ!この子喋り方がトロ過ぎるぞ!
…まぁ、このバカデカイ校舎なら迷うのもしょうがないか。
「あの〜、この教室はぁ一年C組?」
どうやら、ここの教室の子らしい。
つまりはクラスメートの一人だな。
そうだよと教えてやると「ありがと〜」とか言いながら教室の中に入って来て…
「は〜い、ちゅうも〜く!私がこのクラスの担任のぉ〜」
「ちょ、ちょい待てぃ!」
「ハヘ?」
おっと、思わず突っ込んじまった。
「あれ、学園長センセの…」
「あ、10秒チャージだ!」
「『なおや』だったっけ?」
う〜む、後でなんか言ってるけど気にしないでおこう。
ってか、そんなところ覚えてくれるな。最後のやつ。
まぁとにかく、
「あんた、生徒ちゃうんかい!」
見ると、後でウンウンと頷くクラスメートたち。
「ですからぁ、このクラスの担任って言ってるでしょ〜が」
「「「ぇえ〜〜!?」」」
クラス全員で驚く。
あの声で先生はねぇだろう!
ってか、なんで先生なのに女子の制服着てるんだよ!
「まぁ〜、とにかくぅ私の名前を教えちゃうよん」
そう言って黒板に向かう。
もしかして、ドラマの王道【黒板に自分の名前書いて自分の名前の由来とか熱く語っちゃったりしちゃう】をやるのか!?
と、先生がまるで侍が刀を持つときのようにチョークを構える。
スタッタッタッタ!!!
は、速すぎる!
手が見えねぇ!
見渡すとクラスの半分が唖然、残りが驚愕のまなざしでそんな先生をみていた。
なんで、チョークは素早いのに声はトロイんだ?
ってか、あんなに早く書く必要性がったのか?
「は〜い、せんせぇの名前はぁ」
そう言って黒板をコツンと叩く。
「大森 ほのかで〜す」
そう言ってニコニコっと笑ったかと思うと、
「んじゃ、今日はこれにて、かいさ〜ん」
「ちょい!」
いくらなんでも速すぎるだろうが!
ってか、『名前覚えて帰って』って選挙か!
そのことを先生に伝えると、
「それじゃぁ、クラス委員を決めよぉ!じゃぁねぇ、ルーレットスタート!ピピピピピッ」
と言いながら何故か手を前に突き出しまわり始める先生。
あ、止まった。で、その指先にいるのは…
「お、俺ぇ〜!?」
「そぉ、ちょっと前に来て司会やってぇ?」
「OH!Mr.尚史、頑張ってこい!」
そんな感じでセイジに前に押された。
まぁ、とりあえず教卓に行こう。
…で、司会は何をすればいいんだ?
正直、今まであまり人を仕切ったりしたことないからなあ。
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