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● Wonderful Every Day --- 始業式(2) ●

『フフフフフ、尚史君私を忘れたのか〜い?』

「あ、あなたは……お、おじさんっ!?」

そう、サングラスでよくわからなかったけど、その顔は正樹おじさんその人だった。

『ようやく気付いてくれたみたいだねぇ!』

そう言って客席(まぁ、生徒席だな)にサングラスを投げるグラサンハワ…もとい、おじさん。

「「「「「キャー!!!!」」」」」

ぉお!前の方にいた生徒たちがサングラスの奪い合いしてる!?
って、おじさんどんだけ人気者なんだよ!?

――――――――ッス――――

っと、恐ろしいほどの速さで先輩であろう男の人がサングラスを取った。

「おにいちゃん!ありがとぉ〜」

その近くにいるのは妹?
さっきの先輩からサングラスを貰ってる。
妹さん(あくまでも予想)はハルちゃんと同じ年くらいかな。

おっと、そんなことよりもおじさんだ。

『ホント、久しぶりだなぁ〜、大きくなりやがってコノヤロ』

そう笑顔で言いながら外国人さながらのハグしてくる。
ってか、こんなに近いのに何故マイクを使う?
俺そんなに耳遠くないんだけど、むしろ良い方なんだけど…。
まぁ、そんなことよりも…子供好きなのはいいけど学園長が始業式なんかにこんな『グラサンハワイアン&盛り上げスピーチ』なんかでいいのかよ!

『んじゃ、記念に自己紹介でもする?』

イヤイヤイヤイヤイヤイヤ、なんで全校生徒の前で自己紹介なんかしないといけないの!?
それに、記念って何の!?

「け、結構です」

『そ、そんなぁ〜』

そう言って座り込んだかと思うと床に『の』の字を書きだした。
典型的な”しょんぼり”のボディランゲージだけど大人がやると余計にみっともないな。
ってか、しゃがんでもまだマイクを握りつづけてるのはスゴイ。

「お、おじさん?」

う〜ん、おじさんを何とかして立ち上げたい…そうだ!

「みんなが見てますよ?」

『ハッハ〜!私がこんなことで落ち込むと思ったかね?』

今までの雰囲気はどこへやらイキナリ立ち上がるおじさん。
ってか、さっきまでこの人沈んでたんだよね!?
見栄っていうか、学園長としての威厳というか…。

『では、また後で会おう!』 

ポチッ

キーンコーン♪

おじさんがそう言うと共にチャイムが鳴った。
ってかおじさん今、何押したんですか!

「尚史、クラス発表始まるぞっ!!」

そうそう、この学校は始業式の後にクラス発表があるって誰かが言ってたっけ。
晄に呼ばれて思い出した。
どうやら、さっきのチャイムが合図だったらしい。
晄の言ったクラスの発表を見に行くんだろう、体育館にいた大勢の生徒がゾロゾロと出て行った。

「お〜い、尚ちゃん置いてっちゃうよぉ?」

「先輩、早くしないとダメですぅ〜」

そう、大声で叫ぶふたりの後ろでこちらも早く行きたいんだろう、ソワソワしている瀬里奈が見えた。
どうやら潮風荘のみんなは俺のことを待っていてくれたらしい。

「ゴメンゴメン、今行くよ!あ、そうそうおじさん携帯サンキュね!」

そう言って壇上から飛び降りてみんなの待っていた出入り口に走る。

「よっし、尚ちゃんも来たことだし教室まで競争だよっ!」

嬉しそうにそう言った途端に恵美が走りだす。
まったく、朝ダッシュでここまで来たのにそんなノリに乗るやつなんて…。

「よぉ〜し、負けませんよ〜!」

いたよっ!?しかも、スッゴイ近くに。
そんなふたりを見てか、隣にいた晄と瀬里奈も走りだす。

「走れ!走るんだジョォ〜!!」

「うん、よくわかんないけど走ろぉ!」

俺の名前は尚史だったはず…俺クロスカウンターうけてないぞ?
ってか、瀬里奈もよく走るな〜。
さてと、さすがに遅れちゃマズイし走るとしますか。
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