●● 猫=神様 --- 火災発生!? ●●
所変わって1−Bの教室。
なんとか遅刻を免れた隆史は普通に授業を受けていた。
「え、えっと…ちゅ、中等部のふ、復習としまして…関数と言うのはけ、計算さえ間違えな…ければ…」
中学のときも思ったけどなんでいつもあんなにビクビクしてんだ新堂先生。
ん?アレって…
「新堂先生」
「ッヒィィィィイイ!!」
…何故に逃げる?しかも頭抱えてるし、震えてるし。
そんな先生をみてなのか、ザッと一斉にクラスメートが俺を見る。
う〜む、俺に向かって何か訴えてるような気がしなくもない。
…俺なんか悪いことしたか?
「あの、三角関数の『関』の字が『閑』になってますけど…」
「いやぁぁぁぁああああ!!!………え?あ、ほ、ホントだね。アハ、アハハ」
いや、そんな乾いた声で笑われても…
キーンコーン♪
「じゃ、じゃぁ、か、解散!サヨナラ!」
そう言うが早いか転びそうになりながらも必死に走っていく新堂先生を見るとあんな人を教師にして本当に良かったのかと教育委員会に本気で聞きたくなってくるのは俺だけか?
いや、そんなこと言ったら他の先生もそうか。
と、なにやら背後に気配が…
「た〜か〜し〜!!!!」
うむ、この微妙な黒さをもつオーラは…
「よ、真志。おはよう」
「なっ、テメェ!言う事はそれだけ―――「特にない」
あ、落ち込んだ。
ってか、床に『の』の字書くのやめい。あのわけわからん学園長みたいだぞ?
う〜む、それにしてもこいつは相当スゴイ早朝トレーニングをしてきたらしいな。
全身アザ&傷だらけだし、背中に草とか土とかいっぱいこびりついてるし…。
「どうした真志、まるで誰かに投げ飛ばされてそのまま2階から落ちて植木にのめりこんだ後動けたけどあちこち枝やらに引っ掛けて転んだみてぇじゃねぇか」
「…うるへぇ〜」
さすがにかわいそうか?
いや、今朝いきなり背後から殴りかかろうとした野郎にとっては足りないくらいだろう。
まぁ、その後すぐに光希が退治してくれたからそんなに怒ってもないけどな。
ってか、なんでこいつ隣の組なのにここにいるんだ?
「おい、なんだよアレ!」
「うぁ〜、マジかよ?」
「あららぁ〜」
ん?なにやら窓際が騒がしい。
「なぁ、どうしたんだ?」
真志はほっといて、近くにいたメガネに尋ねる。
確か名前は山田 太郎。
「なんか向こうで火事があったみたい。煙がでてる」
ほぉ。とつぶやき窓の外に目を向ける。
ふむ、確かにアパートらしき建物から煙がモックモクと…って、
「あれ俺んちじゃねぇか!!」
うぁ〜、マジかよ。
ってか、光希たち大丈夫か?
神だからって火に強いとかはありえんだろうし…逃げたよな?
あ、一応先輩に伝えに行った方がいいか?真志は別として。
「ター君!」
あ、向こうから来た。
「先輩も見たか?ショックかもしれんけど気をしっかり―――「すごいよ、ター君!家に帰れないね!」
…はい?
「だから、家に帰れないね♪」
いや、なんで喜ぶ?
自分の家が無くなって悲しくないのかあんたは。
「だってさ、だってさ。焼け残った木材とかでバーベキューできるよ?それにたぶん千葉さんのことだからキャンプファイヤーとかしてみんなで楽しくわいわい!そして深夜にテントを抜け出してター君とふたりで散歩♪」
…オイ。
なんで、この人こんなにポジティブなんだ?
いや、アレか?あまりのショックにちっちゃい体が耐え切れなくなったのか?
ってか『ター君とふたりで散歩♪』ってあきらかにおかしいだろ。光希&世界主&千葉さん…あ、それと+αはどうした?
「あれ?消えたぞ?」
「消防車も来てないのに?」
「ってか、あの家全然焼けてないね」
「おっかしいなぁ。ってか火事じゃなかったんじゃね?」
「こんな時期でも昼用花火とかで遊ぶ人とかいるもんな〜」
またもや窓際のクラスメート共が騒ぎ出す。
ふ〜ん、そうか火事じゃなかったのかぁ…ってオイ!じゃぁ今までのは何だったんだ?
もしかして世界主とかが火事止めたとか?
…ま、まぁ家があるってことでとりあえず安心。
「良かったなぁ先輩。これで安心して帰れ――「…バーベキュー…キャンプファイヤー…散歩」
うぁ〜、暗れぇ。
大丈夫かこの人?
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