●● 猫=神様 --- イナリ登場! ●●
「はい、光希ちゃんはこっちの端を持って?」
「は〜い」
う〜ん、約束どおりお皿洗いが終わったから教えてあれるってさっきから家具動かしたりあちこちに変なマーク書いたりしてるけど…なんかどっちも隆史に見られたらオコラレちゃう気がするのは私だけなのかなぁ?
今も変な紐持たされたけど。お姉さま一体何をやろうとしてるんだろ?
あ、そういえば
「お姉さま、私のこと『ちゃん』付けで呼ばないでくださいよぉ」
「いいじゃないのぉ。光希ちゃんカワイイんだしぃ〜」
羨ましいわ〜。なんて続けながら私の持った紅い紐の先にある白い鉛筆で変な記号を数個書き足す。
っもう、気にしてるのにぃ。
「でも、もう隆史だっているんだし私ももう立派な神だよ?」
「あ〜ら、契約もしてないのに守護者なんて言っちゃっていいのかしら?」
『守護の契約』
私たち神と人との間で行われる契約。
その契約を結べば人は正式な守護者となり神は自らの力を自由に使うことのできる『本当の神』になることができる。
確かに私たちはまだ契約はしてないけど隆史がいいっていったらちゃんとやるもん。
「はい、光希ちゃんできたわよ〜♪」
「なんか今『ちゃん』のところがすっごく大きく聞こえた気がしますっ!」
「あら、なんのことかしらぁ〜?」
うぅ、…絶対わざとだ。
「そんなことより光希ちゃんソコ危ないわよ?」
いつの間にか記号で囲んだ円の中心にいたお姉さまがいう。
「へ?」
と、私の足元にあった記号が突然青く光り出す。
うわぁ〜、何かの魔法みた〜い…じゃなくって、絶対これ魔法だよね。しかも上級の…。
私が記号の上から降りるのを見届けたお姉さまがなにかを呟き始める。
「……………!」
ッバズン!!
え〜と、すんごい量の煙が出てきたけどいいのかなぁ?
煙って匂いついちゃうとなかなかとれないんだよねぇ。
隆史、怒らないかなぁ?嫌われないかなぁ?
…………………………あ、ついでにお姉さま大丈夫かなぁ?
たぶん大丈夫だけど一応確認しようかなぁ?
「お姉さま?…え〜と、ダイジョーブ?」
「むぅ?光希かの?」
あれ?なんか今お姉さまじゃない声が聞こえたような…。
「コラ、イナリ!暴れないの!」
「す、すまないのぉ。姉様。ちとばかり興奮してもうたわい」
…イナリ。
「はいは〜い!光希ちゃんこっち来てぇ〜。『例のもの』が来たわよ♪」
「語尾に音符なんぞつけおって。姉様…歳はいくつだったかの?」
ガツッ!
うぁ。煙の中で何かドス黒いものが見えたよぉ。
「い、イナリをブッたな!この繊細極まる愛らしいイナリをっ!」
そう叫ぶ声が聞こえたかと思うと煙の中から懐かしい友達が出てきた。
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