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● 猫=神様 --- あいさつまわり ●

「千葉さ〜ん、起きてますか〜?」

「その声は隆史君ではあ〜りませんか!!」

まだ、朝の7時なのにハイテンションな声と共にこのアパートで一番偉い人が出て…もとい、飛んできた。

「ど〜した、隆史君!やっぱり私が恋しくなったのね!?」

「わけがわかりません!」

ギンギン鳴る耳を抑えて両手を広げて何かを待っている180センチ強の大男に返す。

「残念だね〜。それで、何の用で来たんだい?」

もう、さっきまでの役(?)は終わったのか、さっきまでのオカマ口調ではなく極々一般的なお兄さんの声。
ってゆうか、最初からそれで喋ってください。

「え〜と、これです」

そう言って光希を前に出す。

「ん?このカワイ子ちゃんがどうしたの?…あ〜……ウンウン」

まだ、何も話していないのになぜか納得している千葉さん。

「隆史君、君もクロい人間になってしまったのか」

残念だよとため息をつきながら俺を眺める。
お〜い!何か勘違いしてるぞこの兄さん!

「大丈夫、こう見えてもお兄さん口堅いからね!メールではスゴイけど」

うぁ〜、絶対に信じられねぇ
ってゆうか『メールではスゴイ』って明らかに話が拡大する。

「千葉さんが何考えてるかわからないですけど、それ違います!」

「え?女の子を捕まえて××××とか△△△とか…違うの?」

「「違います!」」

気付くと光希も一緒に叫んでた。
うわ〜、顔真っ赤だし。

「冗談だよ?」

あ〜、この人張り倒してぇ!

「で、何の用?」

「実は……」

説明は朝に先輩に言ったとおり。

「つまり、この子がしばらく隆史君の部屋に居候するって?」

「まあ、そういうことです」

「フフフッ、隆史く〜ん嘘はいけないよ〜?」

ニヤニヤ笑いながら俺に近づいてくる千葉さん。
も、もしかして気付かれたか?

「君も危ない領域に足を踏みいr……ヒデブッ!!」

千葉さんが某マンガよろしく吹っ飛ぶ。
みると光希の脚が千葉さんのあごを蹴り上げていた。
しっかし、よくそこまで脚上がったな。

「隆史、次行こうか?」

「…う、ウイッス」

【神様取り扱い注意・其の一

 光希の前で恥ずかしいことを言ってはいけません】


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俺と光希は俺の部屋の右隣の部屋の前に来ていた。
ちなみに左隣はさっきの先輩。

「お〜い、真志いるか〜?」

俺が呼びかけると「んふぁ?」という間抜けな声とチェーンロックを外す音がドアの向こうから聞こえてきた。

「隆史じゃねえか。どうした?」

「ちょっと、紹介したいやつがいてな」

光希を真志の前に持ってくる。

「ウワッホ〜イ!ちょっと早いクリスマスプレゼントだぁ!!!」

真志が光希に飛び掛かる直前にドアでガード。
ガンッという鈍い痛そうな音が鳴り響く。
こりゃ、そうとうえてるな。
ってかまだ5月だぞ?クリスマスにはまだまだある。

「痛いよぅ」

ドアを開けてみると案の定、頭を抑えてうずくまるアホがいた。

「真志、いつもいってるけど女子見つけるたびに変な行動するの止めろや」

「うぅ…で、でも、久しぶりに女子を間近で見たんだよ?」

「いや、だってさ。ホラ」

光希震えてんじゃん。
ってか、逆効果か?

「わ、私、桜木 光希。これから隆史と暮らすからよろしく」

「…ぬぁに〜い!?隆史、お前!」

そう言って立ち上がったかと思ったら突然目の前、真っ暗。

ゴスッ

嫌な音と共に目の前で綺麗な足技を決めた光希が隣に舞い降りる。

「隆史が危なかったから…」

「あ、え〜と…ありがとう?」

ん?階段の方から足音が聞こえる。

「そ、それじゃ、明日学校でな」

最後にそう言いながら光希の手を引いて急いでその場から逃げる。
後から「し、真志君!?」とかの声が聞こえたけど気にしないでおこう。


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あいさつ回りから戻ってきた俺らはテーブルで休んでいた。

ホントは先輩のとこも回るんだろうけど、今日の朝にあったからいいや。

「なんか疲れたぁ」

「ああ、でもあの二人はいつもあんな感じだぞ?このアパートで一番普通の人は朝にあった先輩だけだな」

「……」

「そういえば、お前に聞きたいことがあるんだけど。いいか?」

「いいけど、何?」

「昨日、お前を拾ったときから気になってたんだけど、なんであんなに汚れてたんだ?」

「え〜と…それじゃぁ、そんなあなたに問題です!あなたの前に【健康かつ元気で放っといても大丈夫そうな動物】と【今にも死にそうで危なっかしい動物】がいるとします。さて、どっちの動物を保護しますか?」

「そりゃ、後者だろ」

言ったあとで光希がニヤツイタのに気付いた…つまり

「偽造工作かよ」

くぅ、呆れた。
まったく、心配して損したぜ。

「だましてごめんねぇ。でも、隆史に届くのはこの方法しかなかったもん。隆史は人一倍世話焼くからね〜」

「くぅ。ほっとけ」

光希がいうには、長い時間泥遊びをして、近くの土手に生えてる草に飛び込んであの格好を作りあげたらしい。

「じゃあ。次、私からのしつも〜ん!」

「何だ?」

「お昼ご飯まだ〜?」

「はぁ、ったくお前ってやつは…」

これからの生活、なんかすっごく疲れそうだと思った俺でした…。
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