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● 猫=神様 --- 隣の先輩 ●

ピピピッピピピッピピピ…

「…眠い」

目覚まし時計を止めて2度寝する。
ま、今日祝日だし…良いよね?
学生は大変なのだよキミィ〜〜。

「お〜い、起きろぉ〜〜!」

何かが騒いでるが多分気のせいだろう。

「気のせいなわけないでしょ!」

………?

「ほら!起きなさ〜い!」

「…え〜と…光希…だよな?」

「そうよ?当たり前でしょぉが」

…夢じゃなかったのか?
昨日のは明らかに現実離れしすぎてたから夢だと思ったんだけど…。

「お腹空いたからなんかつくって?」

はい?

「神様なんだから魔法かなんかで作れるんじゃないのか?」

「え〜と…」

「…それが出来ないから俺に『作れ』と?」

『ピンポ〜ン!』

ジャストタイミングであきらかに口で言ったとしか思えないインターホンの音が玄関方面で聞こえる。
…俺の住んでるアパートにチャイムなんてもの付いてない。たぶん…いや絶対あの人だろう。

「開いてるぞ〜」

ドアの方に向かって言う。
そういえば、寝る前に錠かけるの忘れてたな。

「じゃあ、入るね〜」

そう言って入ってきたのは隣に住んでる鹿島かしま 沙恵さえ先輩。
いつも、朝に弱い俺に朝飯を持ってきてくれている優しい人だ。
一応先輩だけど、敬語が嫌いらしいのでいつもタメぐちで話している。

「…ター君、その子誰?」

そう言って寝袋の中に入ろうとしている光希を見る。
ってか、お前何してんだ。

「私は光希。隆史の彼女」

「ぇえ!」

「嘘だよ」

「だよね〜」

「っていうのが嘘」

「ぇええ!」

光希がニヤニヤしながらこっちを見てくる。

「光希。先輩が混乱してるだろ。先輩、こいつは俺の彼女でもなんでもない」

「言っちゃダメじゃん」「よかった〜」

それぞれに反応する2人。
っていうか先輩はなんで俺の彼女にこだわるんだ?

「……。」

光希が俺を変な目でみてくる。

「どうした?」

「ねえねえ、ター君この子は誰なの〜?」

そういえば、光希のことどう説明すればいいんだ?
『神』なんて説明してもいいのか?
そう思い光希を見ると激しく首を横に振っている。つまりは言っちゃいけないってことか。

「こいつは…俺の従妹で、光希っていうんだ」

今、思いつきで言ったんだけど信じてくれるだろうか?

「へぇ〜、私はター君の先輩の鹿島 葉子だよ〜。よろしくね〜♪」

「はい、いつも隆史がお世話になってま〜す♪」

…なんか、改めて先輩の純粋さに驚かされる。
光希も普通に従妹役やってるし。
っていうか何でも鵜呑うのみするのはよくないぞ?

しばらくすると先輩は光希の分も朝食を持って来てくれてから戻って行った。うんうん。ホントいい人です。
ちなみに、世界主は奥の部屋にいたから存在自体に気付かれなかったみたいだな。

「従妹かぁ。まあ、それなら長い間一緒にいてもおかしくないか。隆史ってナイスだね」

先輩が帰ったのを確認してから光希が言う。
おお〜、確かに自分で言っといてなんだけど結構嘘うまいなぁ。……ん?

「『長い間』ってどういうことだよ?」

「あれ?教えてなかったっけ?」

たしか、こいつを泊めるのは一日だけだったはず…。
俺が昨日光希が何か言ったかどうか思い出そうとしていると

「隆史は私の守護者なんだよ?」

と、当たり前のように光希が言う。
…『守護者』ねぇ。
そういえば『後々話す』ってまま何にも教えてもらってないな。
そのことを光希にいうと、

「…わ、私からはいえないよ〜」

なんか知らんが後ずさりしやがった。

「う〜ん、少しだけでもいいからさ」

そういうと光希は、少し不安そうな顔で話始めた。

…そして、わかったことはひとつ。

「つまり、居候させてくれと?」

「お願い!」

そういって光希が頭をさげる。
その顔と声からして光希もかなり必死らしい。

「わかった!わかったから…チラチラ上目遣いでみるのやめろ!」

ったく。

「そのかわり!」

『ヤッタ〜!!!』と叫びながら抱きついてこようとする光希を片手で止めていう。

「俺の言うことは絶対に守ること!」

「あ、変な意味じゃなくて『家事の手伝い』とか『部屋で走らない』とか。わかった?」

「ふむふむ、了解」

そうと決まったら、

「光希。後であいさつしに行くぞ?」

「え?なんで?」

「ここでしばらく暮らすんなら大家さんとかにあいさつしないといけないだろ?」

「そっか。それで、何人いるの?」

「大家殿を含め、総勢4人じゃ」

何かの策士っぽくホッホッホと笑ってみる。

「そんだけ?少ないんじゃない?」

ふ〜、その言葉絶対にくると思った。

「ここ自体が新しい建物だし大家さんが俺が通ってる学校の校長と仲がいいとかで生徒ばっかりなんだ」

だから『アパート』よりも『寮』っていったほうが良いかもしんない。

「へ〜」

と、いうわけで朝食を食べ終わりしだいあいさつ回りすることに。

う〜ん、まずはやっぱりあの人からかな?
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