●● 猫=神様 --- 神も酔っ払う ●●
「…ムシャムシャ…ゴックン…カリコリ…シャリシャリ……ズズ〜〜」
目の前で俺のつくった料理がどんどん消えていく。
「…よく食べるな。うまいか?」
「うん!すごいおいしいよ!隆史って料理上手だね!」
「そう言ってくれるとつくったかいがあるな」
「そう言ってくれると食べるかいがあるね」
かましやがった光希にデコピン。もちろん弱めで。
「痛いよ〜」
そう言ってるわりにはニコニコしてるな。
「あ、そうだ。隆史ってさ彼女いる?」
「…はぁ?……い、いるぞ!」
「いないんだね♪」
くぅ。見栄くらい張ったっていいじゃんかよ!
「じゃあ、大丈夫だね〜♪」
「何が?」
「今から『世界主』さんに報告する〜」
それが何を意図するものなのかはまったくもって不明だが、止めたほうが良さそうだ。
しかし、俺が止める間もなく携帯電話らしきものを何処からか取り出してどこかに連絡し始めやがる。
「あ、お姉さまですか?光希ですぅ。私の『守護者』が見つかったので報告しましたぁ。…あ、はい。お待ちしてま〜す」
「なぁ、今のなんだ?あと『お姉さま』ってことは世界主って男じゃないのか?それから『守護者』って何だ?俺のことか?」
携帯らしきものをしまう光希に聞く。
「あぁ、『世界主』っていうのは役職みたいなものでね〜。各惑星ごとに1人の『世界主』がいてその惑星の神々を仕切ってるんだけど『世界主』は男女に関係なく神力の強さで選ばれるの〜。地球の『世界主』は『お姉さま』って呼ばれてるひとだよ。本名は知らないんだ〜。『守護者』については……後々……ね?」
何が「ね?」なのかは知らんが、とりあえず頷いておく。
ちなみに、さっき使っていたのは『神機』と呼ばれるもののひとつで、やっぱりこの世界の携帯と同じ役割をするものらしい。
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「…で、この人が『世界主』か?」
「…うん」
目の前には光希いわく『世界主』。
俺にいわせれば『タダの酔っ払い』が玄関のドアにもたれている。
「あ?…ヒック!…みなさ〜ん♪盛り上がっていこ〜♪」
あんたなら一人でも盛り上がれると思うぞ〜。
テレビとかで見たことあるけどこりゃ大変だわ。
「いっつも、こんな感じなのか?」
「うん…お酒飲まなければそこそこいい人なんだけどね…」
…う〜ん『そこそこいい人』ねぇ。
「ナハハ〜♪…ほえ、君も飲みにゃさ〜い♪」
笑いながら近づいてくる世界主。ってか顔近ッ!酒クサッ!
「テイッ!」
ごっ…がくっ
「ふ〜、これで良しと」
「………。」
え〜っと、今起きたことを整理しよう。
酒を持って俺に近づいてきた世界主の首のうしろに光希が綺麗に裏拳をきめた…って、
「そんなことして良いのか?腐っても世界主なんだろ?」
『一番偉い人』っていってたよな?
「フフ〜ン♪お姉さまが酔ったときにはこれが一番なんだよ♪」
…神様ってわかんないや。
…とりあえず、目の前に倒れて気絶してる『世界主』にちょっぴり同情の眼差し送っておこう。
「で、これはどうする?」
「そうだね〜。さっきのは結構イイ感じにはいったからたぶん一日くらいは倒れてると思う…」
「じゃあ、適当に寝かせとくか?」
会って1時間もしないうちに俺の中で世界主の地位がガックリ落ちたらしい。
なんかもうメンドクサイ。
「そうしよっか」
その後、いつも俺が寝ている部屋にふたりを。
俺はずっと前にキャンプで使った寝袋を使ってリビングで寝ることにした。
くぅ、家の中で寝袋って変な気分だ。
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