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● Wonderful Every Day --- 番外編 ●

外では優しい光と共に顔をだした朝日が輝き、それを待っていたよいうに眠っていた鳥たちがエサを求め巣を飛び立つ。
そんな穏やかな朝にソレは起こった。

「ソコデ転ガッテイル生物ニ告ぐ 我々ハ この星を 征服シニ―――「…眠い!食らえっ!無敵の学園長パーンチ!」


ボフッ!


やかましく騒ぎ立てる目覚ましを今日も学園長パンチ(俗に『まくらで殴りつける』ともいう)で鎮めてから大きく伸びをする。



「さぁて!今日も一日パワフルにいきますかぁ〜!!」



      『サイト22222HIT記念!
               WED番外編
                   おじさんの日常』


「私の名前は山内 正樹。山内学園の学園長をやっている。歳は今年で38、娘がひとりいる」

「…お父さん?」

うっ!
なんで朝から亜耶ちゃん不安そうなの!?
そんな顔してると意味なくお父さんが町内走り回っちゃうよ!?

「いやぁ、自分という人物を再認識してたんだよ。自分はどこの誰なのかって忘れたら大変だろぉ?」

「…あ、うん。そうだね」

大丈夫かぁ〜、わが娘よ!!
人の話を聞いてたかぁ〜?
ちょっとボケてみたのに気付いてくれないのかぁ〜!?
それとももう諦めちゃったのかぁ?

「あ、もうこんな時間」

「父さんの車で行くか!」

「ううん、友達待ってるから先いく〜」

「おぉ…そうか。イッテラァ〜」

「いってきま〜す」

カチャンッと音を立てて玄関扉が閉まる。
うぅ。最近、亜耶が相手にしてくれない。もしや、…反抗期突入か!?
も、もしかしたら一生こんな状態なんじゃ…。

「いやいやいやいや」

音速に近い速度で首を振り自分のネガティブな思考を止める。
これは一時的なものだ。
確実に、必ず、絶対に、違いなく、100…いや120%以上の確率で直る!
それに、亜耶がダメでも私には『ツッコミ尚史君』がいるではないか!
『ツッコミ尚史君』…何故か響きが気持ちイイぞ!?

「よしっ!私も出発するとしよう!」

席を立つと出来うる限りの速さで近くの戸棚に締まってあった車のキーを掴み、玄関扉を蹴り飛ばし、家の裏手にあるガレージへと走った。

「フフフッ、今日も頑張ってもらうよ。ルドウィン君」

自然と浮かび上がる笑みを隠せないままに真紅の相棒ルドウィン君(俗に『ハーレー』ともいう)に乗り込んだ。


〜五分後〜



視界いっぱいに広がる空とその中を気持ちよさそうにすべっていく白い雲。
そして自分を包む気持ちのいいさわやかな芝生の匂い。

「う〜む!気分爽快!」

ふわぁ〜。
やっぱりいいねぇ中庭での昼寝って。
と、自由を満喫しているのを邪魔するかのように視界に影が指す。
…ヤバイ。

「学園長―――「み、みお君…これはその…え〜と、違うんだよ?決して朝の職員会議がメンドクサイからって開いてた窓から飛び出してきてサボってたわけじゃないんだよ?」

うぅ。澪君の額に青筋が…あぁ、さっきよりヤバイ。

「それでは、朝の紅茶を楽しんでいた学園長秘書の私のところへ困り顔の先生方がいらっしゃったのはなんなんですか?」

「おぉ、もしやそれは君の中に突如現れた妄想なのやもしれん。うん、いい医者を知ってるから今から電話してあげよう!」

と、逃走を図ろうとした刹那。

「学園長、帰りますよ」

ガッシリと襟首をつかまれる。

「イヤダァー!!イヤダァァァアアア!!」

「学園長。お昼ご飯いらないんですか?」

「…うっ!?」

クソォ、卑怯だぞ澪君!!
澪君のお弁当が無かったら恐怖の食券行列に乗り込まねばならなくなるじゃないか!!

「今日は学園長の大好きな牛丼に挑戦したんですけど…そうですか。今日は学食にいかれるんですか」



…。




「よしっ!澪君!会議をするぞ!先生たちを集めてくれたまえ!」

「かしこまりました」


〜一時間後〜



他の先生方が授業に言ってしまったために、私はひとり学園長席の回転椅子でクルクルまわっていた。

「暇だぁ〜」

よしっ。
では今日も…。

「学園長、お仕事は―――「澪君。人の楽しみを奪いとるつもりなのかい?」

そう、私の楽しみのひとつ。
生徒たちに『楽しい料理』を提供してあげよう!
と、いうわけで私はいつもどうり学食の調理場に来ている。
紅茶なんか飲んで暇そうだったから今日は澪君も連れて来た。

「学園長、私まだ朝の紅茶が―――「ちょっと待ってくれ澪君。今、大事なところなんだ」

う〜む、牛乳と納豆はかき混ぜにくいぞっ!!

「学園長、異臭が漂って―――「おおっ!見てくれ澪君!スゴイのができたぞっ!うん!名づけて『納豆シチュー』!」

「…で、それは誰が食べるんですか?」

私の持つ皿の上にあるソレを見て澪君がつぶやく。

「誰って…これを選んだ生徒だろ?」

ふぅ。まったく澪君は。
顔もスタイルも秘書としての実力も抜群なのにときどきわけのわからない質問をしてくるねぇ。
うむ。それでは早速報告といこう。
え〜と、学食のおばちゃんはっと…あ、いたいた。

「おばちゃ〜ん!新メニュー追加ぁ〜!」

ガコンッ!!

「痛っ!!おばちゃ〜ん!何でおぼん投げるんだよ〜!!」

「あんたにまで『おばちゃん』言われるほど歳取ってないわぁ!!」

おぉ、私はおばちゃんを知らず知らずのうちに傷つけていたのか!
うぅ、今まで気付かなかったのを許してくれぃ!

「すまないね!おねえさん!」

ガコンッ!!ガコンッ!!

「無理に直さなくてもいいよ!!」

「イッツゥ〜、だからって二つも投げることないよねぇ澪君?」

…私はどうコメントすればいいんでしょう?


〜十五分後〜



「よしっ!じゃぁ後はおば…おね……まぁ、いいや。おばちゃん頼んだよ!」

ニパァという擬音が似合う笑みをうかべながら子供のようにハシャグ学園長。
…精神年齢は一体幾つくらいなのでしょうね?ときどき疑問に思います。

「はぁ、またみんなに誤解されちまうねぇ。まぁ、学園長さんの言う事だからやっとくけどさぁ」

と、学食を作られているおばさん。
ちょっと…いや、結構迷惑そうです。

「さすがはおばちゃん!ありがとっ!よしっ、次はあっちにいくぞっ!澪君こっちこっち!」

どこかへと走り去る学園長。

が、学園長!…す、スイマセン。あんな学園長で」

…あれ?
なんで私謝ってるんだろう。

「あら、いいんだよぉ。それにしても澪さんもあんな学園長の秘書なんて大変だねぇ」

…また言われました。これで何度目でしょう。
学園長にお付きしてからいくらか過ぎましたけど、会う人会う人に言われますね。
やはり、あの方にはいろいろ迷惑をかけられそうです。

「はい、確かに大変ですけど根はしっかりした人だと思うのでお付きしています…まぁ、退屈しませんしね」

それもそうだねぇ。とおばさんも楽しそうに頷かれる。
まぁ、まだまだ足りないくらい理由はあるのだけれど…そう簡単に他人にはいえませんね。

「それでは、私は学園長を止めなければならないので」

「あぁ、じゃあね……あ、そうだ澪さん」

食堂から出ようとしたとき後から呼び止められました。

「私でよかったらいつでも相談乗るからねぇ?」

「あ、ありがとうございます」

…もしや気付かれましたか?
…いえ、そんな簡単には…大丈夫でしょう。


学園長!!ソレだけはやめてくださいなぁ!!!!!


ズボンッ!!


遠くの方から誰かの叫び声と何かの破裂音、もしくは爆発音が聞こえます。
なんでしょう…といっても100%あの方の所為だと思いますけど。

はぁ。仕事はドンドン増えていきそうです。


========あとがき=======


……長っ!!

しかもなんか続きそうな感じで終わらせちゃいましたしねぇ。
う〜ん、続きは書いたほうがいいですかねぇ?
まぁ、書くとしてもこれはあくまでも番外編なので○○○HIT記念!みたいな形でしかできないと思いますけど…。

まぁ。なにはともあれ(?)『番外編・おじさんの日常』いかがでしたでしょうか?
まだ、ちょこっとしか登場してない学園長ですが、少しでも皆さんに彼という人物を理解いただけたら作者としてとても嬉しいですw

あ、最後にひとつ言っておきましょう。

学園長の家は学校から結構離れています。
徒歩で40分くらいかな?

何が言いたいのかっていうと…まぁ、最初のあたりちょっと読んでくださいませw

以上、Gentleでしたぁ〜。
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